大人の気管支喘息(ぜんそく)その症状と治療
- 始まりは長引く咳
- やっとみつけた咳喘息(ぜんそく)という文字
- 喘鳴があるのが気管支喘息(ぜんそく)
- 気管支喘息(ぜんそく)とはどんな病気
- 気管支喘息(ぜんそく)の治療
- 気管支喘息(ぜんそく)の薬代は?
- 気管支喘息(ぜんそく)と気長に付き合いましょう
始まりは長引く咳
私は子供のころから、風邪を引くと咳だけが長く続いていました。熱はそれほどでないのですが、咳だけが1週間くらい続き、咳止めなどの薬を飲んでもなかなか治りませんでした。
それが大人になるにつれ、だんだんと咳が続く期間が長くなっていったのです。
ちょっとした風邪を引いた後、1ヶ月、2ヶ月と咳だけが続きます。何度も病院に行き、咳止めをもらうも治らず、そしていつの間にか治っていく。その繰り返しでした。
やがて、冷たい空気やお風呂の湯気、そういったものでも咳が出るようになりました。そんな状態が10年以上続いていましたが、病院に行っても原因不明と言われ、咳止めの薬がどんどん強いものに変わっていくだけでした。
やっとみつけた咳喘息(ぜんそく)という文字
そんなある日、咳込みが激しくなり、仕事もままならず、病院をどうしようかとネット検索をしていた時のことです。呼吸器内科のホームページで「咳喘息(ぜんそく)」という言葉を見つけました。
「咳喘息(ぜんそく)」は、咳だけがでる喘息(ぜんそく)だとありました。これかもしれないと思い、その病院へ。診察の結果は、やはり「咳喘息(ぜんそく)」とのことでした。これでやっと、原因がわからずに繰り返す咳に苦しんだ日々とお別れです。
また、咳喘息(ぜんそく)は、気管支喘息(ぜんそく)の前の段階とも言われていて、咳喘息(ぜんそく)を発症している人の1/3が気管支喘息(ぜんそく)に移行するため、喘鳴が無くても、治療は気管支喘息と同じようなものになります。私の場合、現在は気管支喘息(ぜんそく)に移行しています。
喘鳴があるのが気管支喘息(ぜんそく)
あとで解かったことなのですが、「咳喘息(ぜんそく)」という概念は以前はなかったそうです。気管支喘息(ぜんそく)とは、呼吸をするときにヒューヒューゼーゼーと音がする喘鳴があるもの、喘鳴が無い場合は気管支喘息(ぜんそく)ではないという考え方でした。当時の私は喘鳴がありませんでしたので、気管支喘息(ぜんそく)ではなく、原因不明の咳が続くだけ、熱もないので、咳止めを処方するだけの治療になっていたのです。
気管支喘息(ぜんそく)とはどんな病気
気管支喘息(ぜんそく)気道の炎症が原因
気管支喘息(ぜんそく)の人の気道は、何も症状が出ていないときでも炎症を起こしており、健康な人と比べて狭くなっています。
炎症を起こしていますので、気道はとても敏感になっており、正常な状態ではなんともないようなホコリやストレスなどの刺激でも発作を起こし、さらに気道が狭くなってしまいます。そのために咳込んでしまったり、呼吸のたびにヒューヒューゼーゼーと喘鳴がするようになってしまうのです。
気管支喘息(ぜんそく)の症状
喘息(ぜんそく)には、とてもさまざまな症状があります。私の場合は以下のような症状が多く出ています。
- 声がかすれる・声が出にくい
- 胸(鎖骨の間あたり)が詰まっているような感じがする
- 明け方に咳をする
- 笑うと胸の奥のほうから空気だけが漏れたような音がする(ヒッヒッ~)
- 辛いものを食べてむせると一気に声が出なくなり10数分続く
- 息がすぐ切れる(運動不足でもあるが)
- 酸素飽和度はほぼ正常
- 肩で息をしている(医師に言われた)
- 風を引くと咳だけが続く
- 喘鳴がする
- 息苦しさが続き仕事にならない(仕事をしたくないからかもしれない)
- 運動をすると咳込み過ぎて胃が痛くなる
息苦しさは、人によって感じ方が変わってくるものです。気管支喘息(ぜんそく)の人は、日常的に気道が狭くなっていますので、息がしづらいという状態に慣れてしまい、息苦しさを感じにくくなっています。
また、息苦しく感じる度合いと、酸素飽和度や喘鳴もあまり比例していないようです。息苦しくてたまらないのに、酸素飽和度は正常範囲内、喘鳴もないといったことはよくあります。
逆に、それほどでもないが薬をもらっておこうと診察を受けると、酸素飽和度が少し下がっていて、喘鳴が出ているため、点滴になることもあります。
大切なのは、気になる場合は診察を受けることですね。
気管支喘息(ぜんそく)の治療
気管支喘息(ぜんそく)は1度発症してしまうと完治は難しい病気です。そのため、治療は、健康な人と同じように生活できることを目指します。
治療方法は2つ、症状が出ないように毎日行う治療と、症状や発作が起きた時に行う治療です。
症状や発作を起こさないようにする治療薬
症状や発作を起こさないようにするためには、気道の炎症を押さえることが基本になります。
- 吸入ステロイド薬
- 長時間作用性β2刺激薬
吸入ステロイド薬は、炎症を押さえる効果が高い薬です。長時間作用性β2刺激薬は、気道を広げ、呼吸を楽にする効果があります。これら2つの薬を一緒に吸入できる配合剤が、気管支喘息(ぜんそく)の治療の基本となります。
配合剤の製品名は、以下のものが多く使われています。
- レルベア
- アドエア
- フルティフォーム
- シムビコート
アドエアは朝と夜の2回使用するのに対して、レルベアは夜1回だけです。ずぼらですぐに吸入することを私が忘れるため、医師にレルベアを勧められて、今はレルベアを使用しています。
発作が起こったときの治療薬
- 短時間作用性吸入β2刺激薬(メプチンエアー、セレベントなど)
- テオフィリン薬(ネオフィリン、テオコリン)
- 経口ステロイド薬
- 抗コリン薬(スピリーバ、シープリなど)
短時間作用性吸入β2刺激薬
よく使われているのが、メプチンエアーやセレベントなどの短時間作用性吸入β2刺激薬です。これは気管支を広げる作用が強く即効性があります。改善が不十分であれば20分おきに使用し、1時間(3回吸入)たっても呼吸困難があれば医師の診察を受けましょう。
テオフィリン薬
気管支を広げる働きと、炎症を押さえる働きを持つ薬です。ゆっくり効くタイプと短時間で効くタイプがあり、発作時は短時間で効くタイプを用います。発作をおこして受診した時は点滴として使われることもあります。
経口ステロイド薬
炎症の悪化を防ぎ、喘息の発作をしずめる効果の高いお薬です。β2刺激薬を使っても発作が治まらない場合や、中程度以上の発作がおこったときに使います。
抗コリン薬
自律神経から放出される、気管支を収縮させる物質の働きを抑えて気道を広げるお薬です。
気管支喘息(ぜんそく)の治療薬私の場合
- レルベア200エリプタ 1日1回 夜吸入
- シングレア錠10㎎ 1日1回 夜服用(喘息に関わる体内物質を抑えます)
この2つをメインに、さまざまな薬がその時の症状に合わせて処方されます。風邪を引いていれば風邪薬、痰が絡むようであればその薬などです。レルベアは毎日、その他の薬は1週間から2週間程度続けます。症状が治まれば、レルベアのみを継続しています。
気管支喘息(ぜんそく)の薬代は?
気管支喘息(ぜんそく)の薬代は、一般的な風邪やお腹が痛いといったときに比べてかなり高価になります。
社会保険に加入していますので3割負担なのですが、レルベア1ヶ月分、シングレアほか2種類の薬を1週間分で、4,000円を軽く超えました。
病院代は別です。気管支喘息(ぜんそく)の場合は、特定疾患になりますので、管理料が加算されます。場合によっては点滴になることもありますので、さらに治療費がUpします。症状が出た、息がしづらいといって病院に行くときは、10,000円くらい持って行かないと、足りないかもと不安になってしまうほどです。
レルベアは、症状が無くても毎日続けるものですので、年間を通すとけっこうな金額になってしまいます。発作を繰り返し、治療費が高額になった年は、医療費控除を受けるために確定申告をしたこともありました。
気管支喘息(ぜんそく)と気長に付き合いましょう
気管支喘息(ぜんそく)は完治が難しい病気ですが、コントロールすることができる病気でもあります。発作を起こさないようにする薬を毎日続け、健康な人と変わらない毎日が過ごせるようにしましょう。
もし、今、咳が続くなと感じている方は、咳喘息(ぜんそく)を疑ってみてください。早く診断され、適切な治療を受ければ、気管支喘息(ぜんそく)に移行せずに済むかもしれません。気になる症状がある方は早めに受診されてくださいね。